それゆけブリティッシュガール(前編)
今回は一部の方をめちゃくちゃお待たせしていた話をやっとこさ書こうと思います。そうですちさぷらイギリス留学編です。なんと!7年前の話です!もう記憶の色んなところがあやふやで有耶無耶!
しかし7年前にも関わらず「ちさぷらって留学中どんなことしてたの?」と聞かれることが未だに多いので(記憶がこれ以上薄れないうちに)ここに記します。
そもそも外国とは縁遠い大阪の片隅に暮らす女子高生だった私が留学することになった経緯は「受験に失敗しまくり留学必須の学部にしか受からなかったから」という何とも情けないものでした。ガチで。
元々志望していた公立の大学はセンター試験の数学にやられて合格が絶望的になり、私立文系もことごとく落ち、これはもう留年だ!となっていたところにたまたま出来心で漢文+英語のみで受けた外国語系学部の合格通知が。九死に一生を得た。漢文には頭が上がりません。こういうこともあるので今高校生の皆は「こんなん将来使うわけないやん」とか言わずに古文漢文もしっかり勉強しような!君の未来を変えるかもしれないぞ!
そうして運だけで滑り込んだような学部だったので、周りは帰国子女だったりTOEIC満点保持者がゴロゴロいるような完全な場違いな環境で4年間頑張っておりました。卒業まで漕ぎ着けられてよかった。20年以上生きてるけどあれほど「場違い」と思ったことはありません。花男の牧野つくしぐらい場違い。そして道明寺が現れることはない
しかし入った経緯はどうあれ辛うじて外国語系の学部を卒業できたおかげで就職の面接では「外国語系ってことは英語喋れるんや!採用!」となり、今では雑用やらマーケティングの傍らで翻訳系の仕事にもたまに勤しんでいるので、留学とそれにかかった膨大な費用は決してムダではなかったと信じたい。
そんな訳で所属する学生は全員在学中に必ず留学する学部に入ったちさぷら。
留学先の大学は英語力・成績・本人の志望などを踏まえて決定されるので、まずどの国のどの大学に行きたいか、自分の語学力ならどこの大学のコースに入れるかを経済的な面も含めて考える必要がありました。
ちなみに留学先候補の国はアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フィリピンで、7つぐらいの大学が選べたはず。滞在形式もホームステイ、ルームシェア、大学付属の寮など多岐にわたる。そして今はもっと行ける国の選択肢が多いらしい。
しかし私はたくさんの国、たくさんの大学がある中でもどうしてもイギリスに行きたかった。何故か?
ハリーポッターの聖地だからである。
他のイギリス行きを希望している人が「ヨーロッパの建築や街並みをこの目で見たい」「ブリティッシュアクセントを学びたい」「イギリスの文化に興味がある」「英語でビジネスを学びたい」などなど格好いい理由を並べる中、英国ファンタジーが好きという理由だけで海を越えていった女。それが私です。壮大な感じにすな
好きという感情だけで国境は越えられるのだ。
語学試験や志望度調査を経てありがたいことにイギリスの2つある大学のうち1つに留学出来ることが決定し、2013年4月に渡英。
ちさぷらの9ヶ月のイギリス生活が幕を開ける。
イギリスのもう1つの大学は寮に入ることになっていましたが、私が行くことになった大学ではフラットといって5人で1部屋に住むタイプの住居が割り当てられることになっていたので、同じ学部の4人の女子と9カ月間の共同生活を送ることに。
※フラットとは
5個の個室(それぞれシャワーとトイレとベッド付き)と共用のキッチン&リビングがあるアパートみたいなもの。洗濯機は備え付けられていないのでランドリーコーナーで洗濯物をする。ルームシェアみたいなイメージでOK
今だから言えることやけれども私が留学先にイギリスを選んだ理由の1つに「生活力がなさすぎてホームステイ必須の国を選ぶとホストファミリーにめちゃくちゃ怒られる気しかしなかった」というのがあります。
何も英国ファンタジーのことだけを考えていたわけではないのです。頭の中は大体そのことばっかりやったけれども。
ちなみに当時どれくらい生活力がなかったかというと
・実家暮らしのためほぼ料理はしない
・米は炊けるがおかずは作れない
・電子レンジで弁当を蓋ごとチンして溶かした前科あり
・自分の部屋はいつでも散らかっている
・洗濯はもちろん自分でしない
・風呂上りの着替えを自分で出したことが数えるぐらいしかない(風呂に入っている間に母親がやってくれる)
婚活中の身なら真っ先にお断りされるであろうこの生活力のなさ。
どこからどう見てもタオパンパである。箱入り娘である。我ながらよく19歳(当時)まで生きてこられたなぁ。こんなんでも今では就職して自力で生活していたりするので何歳からでも人は成長することが出来る。
このまま実家暮らしだと一生私には生活力が備わらずアダルトチルドレンまっしぐらなのでは…という危機感は多少なりともあったので、留学を機に親元を離れて自分で自分の生活の全てをやってみよう!大人への第一歩!でもいきなり他の家族(しかも異文化圏)に放り込まれるのはしんどいから同郷の人たちとルームシェアから始めてみたいな!同世代と住むのって楽しそうやし!と思って始めたフラットシェア生活。
しかし遠い異境の地で暮らし始めたからといっていきなり生活力が備わるわけもなく、シェア生活が始まって早々にフラットメイトにめちゃくちゃに迷惑をかけてしまう。迷惑の内容は後述
しかしそんな生活力ゼロのちさぷらを茶化しながらも9ヶ月間見捨てずにいてくれた心優しいフラットシェアメンバーの4人をここで敬意と感謝を込めて紹介したいと思います!
まず1人目!きみちゃん
小麦粉の魔術師。小麦粉と卵があれば大抵のものを作ってしまう。彼女と一緒に暮らしていたことにより我々のフラットのオーブンからは常にいい匂いが漂っていた。毎日がKIMI's KITCHEN
よくミュージカル映画を見て「こんな日常で突然歌い出す人おらんやろ〜」と思っていたちさぷらだが、彼女の部屋では毎日ミュージカルが開催されていたので日常で事あるごとに歌い出す人も世の中にはおるんかもな…と価値観の変化をもたらしてくれた。楽しそうなのでいつか私もやりたい。
留学前から面識があったので同じフラットになれてとても心強かった。そしてめちゃくちゃ優秀。めちゃくちゃ英語が出来る。
日本は彼女には狭すぎたらしく大学卒業時に「イギリス人男性と結婚して永住権獲得を狙う」と野望を語っていてやっぱり出来る女はスケールが違うわ…と感嘆していたら何とこの度実現してしまったらしい。凄い。めでたい。有言実行の女である。
そして2人目!キティ
ライフスタイルがオシャレ。普段のご飯作りに赤ワインと白ワインを使っていてちさぷらの度肝を抜いた。家庭料理でそんな使うことある?
留学前には全く面識がなく学部内で付き合うメンバーも全然違っていたのでフラットシェアしていなければ仲良くなっていなかったと思う。こういうのも共同生活の醍醐味かな。何事も縁ですねぇ。
私含む5人の中で一番家にいる滞在時間が短かった人。ほとんど帰ってこない日もあった。自由奔放である。そして魔性の女でもある。
オシャレガール故に私のような芋々しい女はアウトオブ眼中かと思いきや、魚が好きで魚モチーフに目がなく、一緒にポルトガル旅行に行ったときに「どうしても水族館だけは行きたい。旅行では水族館に行かないと気が済まない」とお願いしてくるような可愛く面白い一面もある。魔性の女だわ(2回目)
3人目はこちら!エイミー
音楽と肉をこよなく愛している。我々のフラットのリビングに流れるBGMをセレクトしていたのは大体この人。朝が弱い。
爆音の音楽を聴きたい!という理由で連日のようにクラブへ繰り出していた。360°どこからどう見ても陽キャ。すぐ色んな人と仲良くなる。しかも私のような冴えない女にも優しくしてくれる徳を積んだタイプの陽キャである。うちの学部には一見パリピに見えてもこの手の徳を積んだ方々がたくさんいた。非常にありがたい。
酒をあおるように飲むがそこまで強くないらしく留学中は知らん間に戦線離脱→復活を繰り返していた。そして夜な夜な「お腹すいた〜!」と言って冷凍していた肉を焼いて食べ出す。彼女のおかげで私はハンバーグのタネが冷凍出来ることを知った。
感受性が強いので悩み相談をすると自分のことのように悲しんだり喜んだりしてくれる上にめちゃくちゃ親身になって聞いてくれる。良い人すぎて大丈夫なんだろうか?と心配になるレベル。実は私と地元がほぼ同じなので留学終了早々成人式で再会することになった。
最後に4人目!シャンドン
いかついあだ名になってしまったけれど本人は色白でほんわかしていてゆっくりと喋る可愛らしい女性である。しかし見た目とは裏腹に何でもズバッと言う。文句もめちゃくちゃ言う。このぼやきが面白くて実は留学中の一つの楽しみになっていたりした。すまない
5人の中で一番神経質なのに生活音がめちゃくちゃ聞こえるリビングの真横の部屋を割り当てられてしまった可哀想な人。
標準語を話す。大阪南部出身のちさぷらとエイミーは喋るのが早口(しかも関西弁強め)なので「何言ってるか分からん」とたまに言われた。いやぁ申し訳ない。
ちさぷらは生活力がないが故にまともな料理が留学当初出来なかったが、彼女は経験が少ないが故に思い切りの良いタイプだったので料理への冒険心を人一倍持っていた。
冒険心の例。ある日のリビングにて↓
シャ「ちさぷら何食べてんの?」
私「スパゲッティやで」
シャ「私もパスタ作ろ〜」
私「シャンドンそれ何?」
シャ「ペンネ」←茹でてる
私「おいしそうやね」
シャ「ねぇパスタって何で味付けしたらいいの?」
私「醤油とかトマトとかちゃう?」
シャ「うーん…塩コショウだけにしよう」
えっ私に聞いた意味は????
塩コショウをかけたペンネを食すシャンドン。
シャ「味あんまりしないんだけど」
私「やろうね」
その後も彼女の料理の味付けへのあくなき探求は進む。
私「頑張れ」
シャ「ねぇこの調味料って何?」
私「スイートチリソースやで」
※よく使う醤油などは各自持ち、その他ケチャップなどの調味料は5人で共有してた
シャ「野菜にこれかけてみよう」
私「ドレッシングじゃなくて?」←嫌な予感がしている
シャ「うーん…合わない」
私「やろうな!」
また次の日。
シャ「スイートチリソースって何に合うんだろう」
私「あんまり使わんから分からんわ」
シャ「今日もまたパスタ作る」
私「とりあえず醤油で味付ければ間違いないよ」
※レシピを知らなさすぎてクックパッドで何でも検索していた
シャ「分かった」←パスタに醤油かけてる
私「いいやん」←美味しそうなので安心している
シャ「あ!このパスタにスイートチリソースかけたら美味しいかな?」
頼むからスイートチリソースから離れて
その後も事あるごとに何でもスイートチリソースを入れようとするので止めるのが大変だった。あれは上級者向けの調味料やと思うよ!初心者(当時)の我々にはまだ早かったんや!
ちなみに5人全員留学中は自炊派(マズメシと名高いイギリスなので外食や冷凍食品が口に合わない)だったのでキッチンは交代で使っておりました。
誰かが料理する→食べてる間に違う人が作る→また違う人がコンロ使うって流れでいつもやってたので調理している人や出来上がった料理を皆でやいのやいの言いながら囲んでいる毎日でした。楽しかったなぁ。
そんな訳で個性豊かな4人とのドキドキワクワクの共同生活を始めたちさぷら。しかし実家暮らしで高校3年間は部活にかまけていたのもあり、ろくに家事もやってこなかった人間がいきなり全ての身の回りのことが出来るわけもなく、生まれたのが悪名高き例のアレ。
「ディザスター事件」です。
フラットに入居したての頃、まだ家具やら食材やら生活のルールやら色んなものが足りていない中でとりあえず家事の役割分担を決めよう!ということになり。
エ「ちさぷらは皿洗い担当な」
私「はい」
任命されたので一生懸命皿洗いに勤しむちさぷら。
しかし皿洗い以外にも生活上やることはたくさんあるので、買い出しに行ったりキッチンの設備を使ってみたり掃除をしたりしてみたりしてみたものの、
・買い出しの量が分からず物を買いすぎて冷蔵庫(5人で共用)の他の人の棚まで占領する
・オーブンの使い方を間違えて壊しかける
・何らかの理由でキッチンを水浸しにする
・水浸しにした床を拭こうと思ってモップを持ち出すもそのモップが汚なすぎてさらに床を汚す
・時差ボケもあって部屋の鍵をかけて寝ていたのでフラット会議をやろうとした他のメンバーにどれだけ呼びかけられても反応しない
…と、渡英1週間でやらかしすぎた結果
エイミー「ちさぷらもうディザスターやん」
私「えっ」
とうとうディザスター(災害)呼ばわりされる事態に。
これまでも「ちさぷら」を始めとして数々のあだ名を付けられてきたけれど、いよいよ人間ですらなくなってしまった。皿洗い担当からいきなり災害にまでランクダウンした瞬間である。
そしてフラットメイト4人はこのあだ名が大層気に入ったらしく事あるごとに災害呼ばわりされるように。他のフラットに住んでる同じ大学所属の人にもいつの間にか浸透していた
ある日の授業にて↓
エイミー「Chisaplus is called disaster.」
先生「What?」
ほら先生も何て?って言ってるやん!びっくりしてるやん!そらそうでしょうねいきなり「彼女は災害です」って言われてもね!反応できませんよね!そのあだ名そんな積極的に広めようとせんでもいいやん?
キティ「なぁディザちゃん」
ディザちゃん言うな
どれだけ可愛く呼ぼうとも災害呼ばわりは変わらんからな!
そしてこの酷すぎるあだ名はちさぷらに徐々に生活力が備わり何もやらかさなくなるまで続いた。
少し話は変わって、留学先の大学の同じクラスには日本から来た私たちと同じように中国からの留学生やタイからの留学生がいて、その人たちが本名(発音が英語圏の人には難しい)とは別に「パトリック」とか「ニコル」とかの英語名を名乗っていたので羨ましい!と思って皆でイングリッシュネームを考える流れになったことがあって。
私「私もイングリッシュネーム欲しいなぁ」
きみちゃん「もうあるやん」
エイミー「ディザスターがあるやん」
ないよ!
あれをカウントするのはやめて頂きたい。そもそも人物名じゃないし名乗りたくないよそんな名前!
その次の日ぐらいの夜。
シャ「ちさぷらのイングリッシュネーム決まったよ」
私「えっ」←勝手に決められたので驚いている
お、思ったよりまともな名前だ〜!(失礼)
私「ありがとう!一応聞くけど何でデイジーなん?」
シャ「ディザスターだからDから始まる名前がいいかなと思って」
ほらやっぱり災害呼ばわり〜〜〜!!!
しかし響きが結構気に入ったので次の日からはイングリッシュネームとしてDAISYを名乗ることにした。素直に呼んでくれた海外の皆さんありがとう。今後も外資系企業とかにスカウトされてしまったときにはこの名を名乗りたいと思います。多分一生ない
こうして英語力とともに徐々に生活力を付けていった私はイギリスに滞在している9ヶ月の間にロンドンに出かけたりLCCでヨーロッパ各地を回ったり図書館でハリーポッターの原版を借りて読んだり課題に追われたりして忙しくも充実した日々を過ごしていくわけですが、そんな中でひょんなことから知り合ったイギリス人男性に求愛されるというディザスター事件に並ぶ大事件が起こる。
そんな訳で次回の後編では「ダーリンは外国人(未遂)事件」をお送りしたいと思います。お楽しみに!
P.S.フラットメイト各位
全力でネタにしていますが皆様のことは大切な友達だと思っているので怒らないでください。ちさぷらより。